信州・松本市で不動産業を営み早や30数年。街の不動産営業マンがしみじみ語る一考察。
お客様の中には不動産屋は怖いところというイメージがある方も多くいらっしゃいますが、実際のところ、地域に密着している不動産屋は「なんでも相談所」のようなところです。
もちろん相談されることの多くは不動産にかかわることですが、なかには就職相談や結婚相談、電化製品やガス器具、ホームページの作成に関するアドバイスを求める方もいらっしゃいます。
先日もアパートを紹介したお客様から相談され、10年板前修業をしてきたが、東京から実家のある松本に帰るにあたり、就職するのに良い飲食店(和食の料亭やホテル等)を探しているので紹介してほしいとたのまれ、知人の板さんを紹介しました。
また、大家さんがいきなり来て一人娘の結婚相手を紹介してほしいと言って来ることも珍しくはありません。商売柄、他人の事情を普通より深く知ることもあり、困ったときに相談してみると解決の糸口が掴めることもあるのではないかと思います。
先日、お客様のご案内で某アパートに行きました。そのアパートは多くの不動産業者が仲介している物件で、空室も多数あったのですが、家主さんが不在がちで鍵の手配に苦労しました。
何とか大家さんと連絡をつけ、鍵を預かっていた不動産屋に鍵を受け取りに行くと、他の業者に鍵を貸すのが面白くないらしく、いつ返してもらえるのか、としつこく聞かれました。
「1部屋はすでに予約が入ったので鍵は返せない、もう一部屋も明日ご案内の予約が入っているので決まったら返せない」と話し、お客様と行く前に中の状態を確認しに行きました。
鍵を開けるとリフォーム済みの張り紙がしてあったのですが、鍵を交換した際の古いドアノブや空箱が転がっていて、流し台の上にある手元照 明はブランブランと垂れ下がった状態、換気扇の表面は拭いてある様だが、取り外して洗わなかったため、中で油が固まって動かない。いたるところに埃や汚れ が残っていて、本職の掃除屋さんなら恥ずかしくてとてもリフォーム済みとはいえないような状態でした。
仕方がないので大家さんに連絡すると、ずいぶん高い掃除代を払ったとのことでしたが、すでにお客さんが決まっているので再リフォームをしてほしいとの依頼を受け、当社で使っているクリーニング業者にリフォームのやり直しを依頼しました。
金額の高い安いはどうこう言うつもりはありませんが、最低限やるべきことがあると思います。掃除機かけて簡単に拭き掃除するくらいだったら誰だってできるっちゅうの!(怒り)。
貸店舗を取り扱っている仕事柄、新しく商売を始める人と接する機会が大変多いのですが、お客さんの中にはものすごく簡単に考えている方が大変多いことに気が付きました。
飲食店や洋服店、雑貨屋さん、美容院等いろいろありますが、どんな商売を始めるにしろ先立つ物が必要です。店舗の賃貸契約金、内外装の設 備費用、物販業だったら商品の仕入れ金、これらを全額準備しても、開店1ヶ月たつと光熱費、家賃、人を使っていれば給料代、それ以外にも様々な経費がかか ります。
商売を始める以上そのような必要経費を計算して開業の計画を立てているとは思いますが、はたから見ているとどう考えてもうまくいかないだろうと思うことを平気で説明するお客様がいらっしゃいます。
例えばラーメン屋の場合、ものすごく研究して凄いラーメンを造り出したので味には絶対の自信がある。この味を出す為にはスープを取るのに 最高級の食材を使い、特注の麺で提供しなければならない。原価をはじき出してみたら1食あたり400円かかるから750円で売れば一杯あたり350円の儲 けが出る。一日200食出ると計算して一日の儲けが70,000円になるから月25日営業で1,750,000円の利益である。これが計画の全てです。
このお客さんは駅近くの人通りの多いところで20坪程度の物件を探しに来ましたが、まず家賃が30万程度かかります。人も3人使うそうな ので1人20万として60万の人件費がかかります。電気、ガス、水道料で月15万近くかかるでしょう。計画通りの売り上げであれば19万位の消費税がかか ります。もちろん自分の給料も必要です。店舗改装と賃貸契約費用に親から1000万の借金をしました。自己資金は100万くらいの貯金があるそうです。
不動産屋の立場からしてみれば借りてもらえればありがたいお客さまなので、世間話で開店計画を聞いていたのですが、本人がいくら美味しい と言っても1日200人のお客が来るかわかりません。100人でもたいした物だと思いますが、従業員を使う以上使用者責任があると考えます。自分の見込み 違いで売り上げが悪いからといって簡単に解雇するような経営者では先行き信用できません。お店を出すのなら、半年間1人もお客が来なくても従業員を解雇せ ずに、家賃を払っていけるだけの余裕がほしいものです。
最近賃貸物件のご紹介の際、お客様から「害虫駆除費がかかりますか?」と聞かれることがあります。最初、害虫駆除費とは何ぞや、と大変戸 惑ってしまいましたが、よくよく聞いてみると、アパートに入居の際、蚤やダニ、ゴキブリ等がいないように防虫剤を散布するサービスを大手の業者が勧めてい るとの事。さらに詳しく聞いてみると、その料金は15,000円もし、任意であるはずの申込も「害虫駆除をしますので消毒代が15,000円かかります」 と言われれば、お客様の受取り方は「消毒代を払わなければならないんだ」と感じるそうです。
お客様の中にはこのようなサービスがあることを喜ばれる方もいらっしゃるとは思いますが、ほとんどのお客様にとっては15,000円も 払って消毒してもらうなら、引越前日にバルサンでも焚いておけば十分だと考えるのは私だけでしょうか?大抵の賃貸物件は前入居者が退去した後ハウスクリー ニングを行います。フローリングにはワックスを塗りますし、ジュータンの場合でも洗浄クリーニングを行います。もし不動産業者が消毒が必要だと思うなら、 大家さん負担でクリーニング時に消毒しておけばよく、新しく借りてもらうお客様に高額な消毒料を半強制的な言葉で請求するのはいかがなものでしょうか?
ちなみに、当社が使っているリフォーム業者が最近大手の賃貸専門不動産業者の仕事もしているのですが、話を聞いてみると、消毒散布の費用は3,000円との事。なんだかな~
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